しみず斎苑
しみず斎園は、北上市、花巻市、旧和賀町、旧江釣子村四市町村の広域組合施設で、古来より敷地でわき出している清水にちなんで「しみず斎園」と呼ばれています。
計画の基本的考え方は「新しいイメージの、儀式の場にふさわしい静謐な空間演出と、土地の特性を反映した真の社会的ストックとなる火葬場」でしたが、名の由来となった湧水を空間に取り込むことによって、敷地の持つ環境、歴史に視点を据えた設計コンセプトを明確に確立しています。また、そのコンセプトを具体的に空間として表現した外部の池と内部のアトリウムとによって、人生終焉の儀式たる非日常空間の創造と、「しみず斎園」にふさわしい独自の空間の創造をはかっています。特に、「池」と「樹木」、「池」と「空」、「池」と「建物」との対峙のなかで、故人を偲び、時、季節の感じられる空間となっています。
建築全体はアトリウムと池とを中心とした平面計画と、基壇、頂部からなる安定感のある構成とによって環境の中に調和し、古来弔いの伝統色といわれる鈍色(にびいろ)の外装タイルと打放しコンクリートとの調和も、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
施設概要
- 場所
- 岩手県北上市
- 用途
- 火葬場
- 竣工年月
- 1989年3月
- 延べ面積
- 1,714.65㎡
- 構造
- 鉄筋コンクリート造 一部鉄骨鉄筋コンクリート造
- 階数
- 2階建
メディア掲載
- 建築雑誌作品選集1991(1991年3月)
受賞歴
- 1990年
日本建築学会東北支部 東北建築賞
㈳日本建築学会 作品選集