七ヶ浜町花渕浜地区災害公営住宅
高低差をつなぐ立体的な“中庭ひろば”を中心としたコミュニティ形成
50世帯が住まう災害公営住宅と、地区避難所の計画です。震災による津波被害エリアからわずかに外れた斜面地が敷地として選定され、造成設計と協働しながらの設計となりました。
七ヶ浜町や東北大学と共同で実施した町民との複数回のワークショップを通して、「広い土間を持った“多目的玄関”」、「高低差を活かした立体的な“中庭ひろば”」といった、この住宅を特徴づける要素が生まれました。
各住戸から「おらほ(自分たち)の町の海、山」を感じられるように計画しており、各住棟が立体的な「中庭ひろば」を囲い、ブリッジでつながることで、「みんなが集まって暮らす」関係性を重視しました。
各住戸は、七ヶ浜の災害公営住宅に共通する「リビングアクセス」という考え方をうけ、多目的玄関から直接LDKにつながるプランとし、コミュニティづくりや単身世帯の見守りへの配慮、居住者の多様な住まい方に対応する計画としました。
玄関とLDKがバルコニーから共用廊下までつながるプランは、住まい手の雰囲気が廊下やひろばに表れ、日常的なつながりを生むとともに、光と風が抜ける「気持ちのいい」住環境にも寄与しています。
(斎藤拓也+八島健介(元スタッフ))
施設概要
- 場所
- 宮城県七ヶ浜町
- 用途
- 復興公営住宅
- 竣工年月
- 2015年11月
- 延べ面積
- 3,632.22㎡
- 構造
- 鉄筋コンクリート造
- 階数
- 地上3階 地下0階
メディア掲載
- 近代建築(2016年1月)
- 新建築(2016年8月(別冊))
- 建築ジャーナル(2017年10月)