盛岡地域交流センター・市民文化ホール「マリオス」
マリオスは、盛岡市西口開発の先導的役割を持つ中核施設であり、人・情報・技術が交流する「複合情報交流拠点」として、盛岡の21世紀へ向けた新しい顔となる、シンボル性の高い建物が求められました。私たちは、盛岡の厳しい気象条件から人々を守り、快適に制御された、光と緑と水に溢れた都市広場「アトリウム」を、様々な機能を求心的に統合する中心として建物を組み立てました。駅に正対して高さ92mのタワー部を配置してシンボル性を、かつて敷地に存在した明治の建物「旧国鉄盛岡工場」のレンガ壁を、アトリウムの中に復元することで歴史性を表現しました。
高層棟のオフィス部分は、高度なインテリジェント機能と快適環境をテーマとし、多様化・情報化・国際化する業務に対応するオフィスを目指しました。低層棟の市民文化ホールは、音楽が主目的の多機能ホールと位置づけられる大ホール、シューボックスタイプの音楽専用の小ホール、展示ホール等から構成されています。市民が快適に芸術・文化鑑賞や創作活動ができるよう、建築的にも設備的にも技術的な工夫を凝らすと共に、デザイン的には木やタイルを使って暖かみのある質感とし、音楽を楽しむ前の心の高揚感を助長するような空間を目指しました。
又、この建物は敷地の制約上、大小ホールと地下部分の地域冷暖房施設、地域変電所を各々相接して組み込まざるを得ず、遮音・防振上希に見る難しい建物となりましたが、ホール音響のベースとなる「静かさ」を確保するため、設計・施工の各段階を通じ、現在考え得る最高の技術と細心の注意を払って、目的を達成することに成功しています。
施設概要
- 場所
- 岩手県盛岡市
- 用途
- 貸オフィスビル、貸店舗、会議室、大ホール(1510席)、小ホール(350席)展示ホール、物産展示販売施設、地域冷暖房施設地域変電所
- 竣工年月
- 1997年10月
- 延べ面積
- 58,030㎡
- 構造
- 地下2階、地上21階
- 階数
- 鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造
受賞歴
- 1998年
盛岡市 都市景観賞
㈶照明学会 照明学会賞