くりはら斎苑
林の中の葬送空間
くりはら斎苑は宮城県北部の栗原郡10ヶ町村の広域火葬場として、旧火葬場の老朽化に伴い計画されました。
計画地は東北自動車道築館インターにほど近い小高い山の頂上付近であり、周囲を松林に囲まれた自然環境に恵まれた場所にあります。
施設は全ての人々に訪れる永遠の別れの場であり、祈りの空間としての「静謐さ」、故人の冥福を祈りつつ心を癒してくれる「やすらぎ」、そして地域風土の継承・「栗原らしさ」を表現できる空間を目指しました。
建物は3棟(火葬棟・待合棟・共通棟)から構成されており、町道側に位置していた旧火葬場を稼動しながらの工事であったため、拡張された敷地東側に沿った平面形状となっています。会葬者の流れを緩やかに整える石積みの収骨室を中心とした回遊動線に沿って、会葬者の心の動きと地域性を慎重に汲み取って各空間を構成し、全体のストーリーをつくっています。
伝統的な建築形態を継承しながら、ガラスなど現代の素材を使用し、建築の要素をシンプルに見せることで、あたらしい「和」の表現を試みています。
(江田紳輔)
施設概要
- 場所
- 宮城県栗原市築館
- 用途
- 火葬場
- 竣工年月
- 2001年10月
- 延べ面積
- 2,040.44㎡
- 階数
- 2階
メディア掲載
- 建築設計資料109 斎場・納骨堂(2007年9月)
受賞歴
- 2003年
- 日本建築学会東北支部 東北建築賞 奨励賞