やまだ斎苑
故人と過ごした時間(とき)を想うあたたかい空間を目指して
岩手県山田町は、岩手県陸中海岸のほぼ中央に位置し、湾と山が近接した豊かな自然に囲まれた町です。東日本大震災で多くの被害を受け、湾に面した中心部は壊滅的な被害を受けました。
計画当初は復興も始まったばかりで、中心部にはほとんど建物が残っていない状態でした。その中心部に比較的近接した、3方が林に囲まれたエリアが敷地に設定されました。
そのような状況で計画する斎苑は、町民の方々にとって敬遠される遠い存在ではなく、故人をお見送りするための静謐さの中にも、随所に「山田の自然や温かみが感じられる空間」を目指しました。
建物は、既存の斎苑から景石や黒竹を移した「小さな中庭」を中心に構成されます。中庭周囲を時計回りに告別・炉前ホール・待合・収骨と進むなかで、中庭に落ちる光や奥庭(山田の林)を感じ、故人と過ごした時間や記憶を想い起こしながら、一筆書きのような流れでお見送りします。
屋根架構は県産材を使った木造とすることで、架構のリズム感・温かみが、空間に静謐さと柔らかさを同時にもたらし、木に包み込まれるような空間としました。
(斎藤拓也+陳炳文(元スタッフ))
施設概要
- 場所
- 岩手県下閉伊郡山田町
- 用途
- 火葬場
- 竣工年月
- 2018年3月
- 延べ面積
- 842.22㎡
- 構造
- RC造一部木造
- 階数
- 地上2階