東北公済病院Ⅱ号館
継承と創造 〜既存棟とつながる密集市街地の病院〜
東北公済病院宮城野分院は東日本大震災により甚大な被害を受け、東北公済病院本院に移転統合するため、本院(Ⅰ号館)と道路を挟み隣接する管理棟を解体、新Ⅱ号館を建設することとなりました。
東北随一の繁華街・国分町に建つことと、弊社設計による道路上空通路接続するⅠ号館との関係を「継承と創造」をテーマとし、計画・設計を行いました。敷地内通路やオープンスペース・緑地により都市景観に寄与している設計思想を継承し、安全な歩道、オープンスペースと緑地を整備しました。外構や外壁の色彩を継承し、光彩(こうさい)通に新たなにぎわいと一体感を創り出しています。
付加価値の高い敷地で、天空率で高さ制限を緩和、最大限の8階建てとし、法定容積率限度一杯の面積を確保しています。コンパクトにまとめた平面は、中廊下でありながら開放的な階段等、外部や自然光を感じられる空間としています。セットバックした5階屋上には屋上緑化とデッキテラスを設け、緑と光・風が感じられる外部空間を創造しています。色彩・サインはⅠ号館のテーマカラーである淡いピンクを継承しつつ、各フロア・各機能でテーマカラーを決め、だれでも、初めてでもわかりやすい動線・サイン計画としました。密集する都市空間において、喧騒から守られ、光・風・緑を感じ、生きる力をはぐくむ病院が実現できました。
(岩根敦)
施設概要
- 場所
- 仙台市青葉区
- 用途
- 病院
- 竣工年月
- 2016年3月
- 延べ面積
- 7,171㎡
- 構造
- RC造
- 階数
- 地上8階 地下1階
メディア掲載
- 近代建築(2016年11月)
- 建築ジャーナル(2017年10月)