須賀川市立第一小学校・児童クラブ館
計画の概要
本計画は、東日本大震災で受けた、校舎及びグラウンドへの甚大な被害に伴う、現地建替えの全面改築事業です。安全安心な教育環境の再構築と、隣接する防災公園整備事業と連携した、地域防災拠点機能を担っています。
ずっと一緒に考える設計プロセス
第一小学校は、明治4年に創立した、須賀川市で一番歴史のある小学校です。地域との関わりも深く、地域とともに学校のあり方を一緒に考えるために、設計の初期段階から工事完成に至るまで、児童やPTA・教職員・地域の方々と様々な意見交換・ワークショップを行い、計画を進めていきました。
風景と思い出の継承
敷地北側の正門近くに、第一小学校の歴史を象徴する記念碑や、杉・松が整備された庭があり、ここで過ごしたすべての人の想い出の場所でした。
この庭を「メモリアルガーデン」として再生し、学校の風景を継承することで、「旧校舎と新校舎の思い出を共有できる場所」となるように計画しました。
活動の多様性を生む「ひろば」空間の創出
子どもたちが元気に学び・集い・遊ぶための様々な「ひろば」空間を計画しました。
その代表的な場として、メモリアルガーデンとグラウンドを結ぶ動線上に、昇降口の大屋根やピロティなどの半屋外空間を連続させ、子どもたちがのびのびと活動ができるひろばを設けました。
まとまりと連携を育む「学年ユニット」
1学年分の普通教室と多目的スペースがセットになった「学年ユニット」を構成し、学年単位のまとまった教育環境を計画しました。学年ユニットは適度に分節し雁行させることで、自然採光と通風を校舎内部にもたらしつつ、他学年とのゆるやかな連携も意図しました。
学校の中心にある「教科ひろば」と「特別活動ホール」
どの学年ユニットからも使いやすいように、特別教室群は、校舎の2階中央に集約し、「教科ひろば」と連携した総合的な学習空間を形成しました。
学校の中心に、「特別活動ホール」を設け、子どもたちや地域の人達の発表・交流・学習の拠点としました。
これら多様な学習空間は、地域との接点である北側ファサードに多彩な表情をつくり出しています。
(杉本光司+千葉遥(元スタッフ))
施設概要
- 場所
- 福島県須賀川市
- 用途
- 小学校・児童館
- 竣工年月
- 2015年7月
- 延べ面積
- 8,065.07㎡(校舎) 529.52㎡(児童クラブ館)
- 構造
- RC造一部S造(校舎)
W造(児童クラブ館)
- 階数
- 地上3階(校舎)
平屋(児童クラブ館)
メディア掲載
- 近代建築(2016年8月)
- 建築ジャーナル(2017年10月)