久慈地区斎場
結界と回廊がつくる葬送空間
本計画は老朽化し手狭になった火葬場の移転改築事業として、2011年にプロポーザルにより特定されました。震災後まもなく、沿岸部でいち早くスタートしたプロジェクトとして、地域防災・災害時の機能確保も重要なテーマとなり、自家発電装置や太陽光パネルなどが設置されました。
敷地は久慈市中心部から北上して洋野町に向かう国道45号線沿いにあり、周囲の喧騒から守られた葬送空間の確保が課題となりました。国道沿いに駐車場、奥の林に囲まれるように建物を配置し、建物の前面に「結界となるコンクリートの壁」を立てることで、火葬場らしい静謐な空間をつくりました。
内部は「中庭を中心とした回廊形式」で、回廊を巡りながら、告別~炉前~待合~収骨の葬送行為がスムーズに行える動線計画としました。
内装に地域材である南部アカマツを採用し、象徴的な上空からの光のもと、地域らしさの中で人生の終焉を迎え、そして静かに送りだす空間を目指しました。
(杉本光司)
施設概要
- 場所
- 岩手県久慈市
- 用途
- 火葬場
- 竣工年月
- 2013年7月
- 延べ面積
- 1,642.49㎡
- 構造
- RC造 一部鉄骨造
- 階数
- 地上2階 地下0階