プロジェクト

仙台市役所上杉分庁舎

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 本計画は、仙台市役所上杉分庁舎(旧労働福祉会館)が東日本大震災の被害を受けたことによる建替えで、仙台市役所本庁舎周辺に分散している民間ビル入居部局を集約し利便性向上を図るものである。

 総合設計制度を利用し、容積率割増による床面積の確保と、公開空地整備による周辺市街地へのにぎわいの創出を基本方針とした。

 敷地は仙台市青葉区役所の北側に隣接している。敷地近くの定禅寺通りや勾当台公園といった仙台市役所本庁舎より南側ではほぼ毎週何らかのイベントが開催されている。しかし、敷地の位置する市役所本庁舎以北のエリアはオフィスビルが連なる街区となっており、にぎわいの核となりうる広場空間が希薄となっている。

 本計画は、定禅寺通りや勾当台公園で行われている各種イベントなど、様々な活動が連鎖的に街に広がるキッカケを与える場と位置づけ、将来の仙台市のバリューアップを目指した。

 

建物構成
 建物は地下1階地上14階建てである。地下は大部分を旧上杉分庁舎の躯体を山留め兼用で利用した計画(駐車場・設備諸室)としている。上階は床面積割増により高層建築となるため、建物配置を勾当台通りからセットバックさせることで、圧迫感を軽減すると共に、公開空地が広場として利用されやすい計画としている。
 1階は公開空地に面してエントランスを設け、2階には公開空地でのイベント時に主催者控え室としても利用可能な会議室を設けた。3階〜14階の基準階は執務室となっている。屋上は屋外機置場として利用している。太陽光パネルの設置や地中熱を利用した床暖房を一部採用している。

にぎわいの創出に寄与する公開空地
 公開空地は、七夕まつりやストリートジャズフェスティバルといった全市的イベントの開催場所の一部として、また、様々な市民活動を支援するためのパネル展や展覧会会場として、まちににぎわいを与えるよう計画した。

公開空地と一体となったエントランス(風除室)…「分庁舎ギャラリー」
 公開空地に面した庁舎の風除室は誰でも利用できる公園の休憩所として位置づけ、仙台市の情報発信などにも利用できる市民に開かれたスペースとした。ガラスのボックスとして構成することで、照明なしでも明るく見通しのよい空間としている。
 イベント時には屋内展示スペースとして、普段は待合や休憩、ちょっとしたギャラリーとしても利用できる空間(分庁舎ギャラリー)として整備した。

ファサード
 庁舎の”顔出し”空間となる勾当台通側(西側)のバルコニーには、建物内部の目隠しと西日除け(環境負荷低減)を兼ねた縦ルーバーを設置。南・東側は横連装窓を基本としながら、部分的に通風用窓を設置し、外気を取り入れられる計画としている。全体はモノトーンを基調とした色彩計画とし、通風用窓のルーバー(面格子)をアクセントとしてシンプルながら動きを感じるファサードとなっている。

施設概要

場所
仙台市青葉区
用途
庁舎
竣工年月
2015年5月
延べ面積
9,505㎡
構造
S造
階数
地上14階 地下1階

メディア掲載

  • 建築ジャーナル(2017年10月)

受賞歴