JAみやぎ登米 本店・なかだ支店
◆登米の農業と地域の「ヨリアイ」の場
みやぎ登米農業協同組合の集約化・建て替えの計画です。
JAの建物は鉄骨造が通例でしたが、環境意識の高まりから、登米産杉を活用した木造建築として実現しました。農家に昔からある「寄り合い」の仕組みを現代的に再解釈した「ヨリアイ」をコンセプトに「ここに来れば誰かと会える、ほっとできる」 多世代がつながる場を考えました。
敷地形状に合わせて角度を振った2棟の切妻屋根が寄り合い、その間を「ヨリアイホール」が有機的につなぐ構成とすることで、ビルのようなひとかたまりの建物ではなく、豊かな農村の風景に違和感なく溶け込み、素朴でありながら新しさを感じる佇まいを目指しました。
◆サステナブルな木造建築の実現
大規模な木造建築には集成材が使われることが多いですが、この建物は集成材を使わず登米産杉の製材のみでつくられています。製材は太さや長さが限られますが、それを束ねたり、重ねたりすることでより大きな断面の「束ね柱」「重ね梁」「重ね肘木」としています。
これにより鉄骨造より木造で不利になる大スパンへの対応を可能とし、燃えしろ設計による準耐火構造を実現しています。
ウッドショックの最中に大量の登米産材を確保するため、みやぎ登米農業協同組合は登米市森林管理協議会と協定を結び、建設工事に先立って山から丸太を切り出しました。
隣町の南三陸町の森林組合からも協力をいただき、使用木材の90%にFSC認証材を使用し、森林保護やCO2の固定化にも寄与する本プロジェクトは、国土交通省のサステナブル建築物等先導事業(木造先導型)に採択されました。
三浦高史+雨宮雅明
施設概要
- 場所
- 宮城県登米市中田町石森字駒牽地内
- 用途
- 事務所
- 竣工年月
- 2023年2月
- 延べ面積
- 2,646.15㎡
- 構造
- W造
- 階数
- 地上2階
メディア掲載
- 建築技術8月号
- みやぎの木づかい運動〈みやぎ材活用事例集〉VOL.18
受賞歴
- 2024年
- ウッドデザイン賞2024