プロジェクト

東山総合体育館

東山総合体育館 東山総合体育館 東山総合体育館 東山総合体育館

 一関市東山(旧・東山町)は岩手県南部に位置し、豊富な石灰岩と砂鉄川が織りなす、猊鼻渓に代表される豊かな自然環境に恵まれた、人口8,700人の町です。町の高台に位置する計画地の唐梅館(からうめだて)はその昔、豊臣秀吉の小田原征伐に参陣するかどうか葛西氏が大評定を開いた地であり、現在は総合公園としてプール、野球場、テニス、サッカー、キャンプ場など、大勢の人々が集う場所となっています。

 この地に体育館を計画するにあたり、土地の歴史性や人々が集う様から、施設を「館(やかた)」と位置づけ、誰でも(老若男女、スポーツや演劇などをする人、観る人)が利用できる様に、和風を意識した落ち着いたものとしています。また正面には透明ガラスで大きく、そして緩やかに弧を描くことにより、今日的な表情を与えて和風と対比させるとともに、人を招き入れるデザインとしています。

 大きな屋根は、「館」として人々をその下に集わせる象徴的なものであり、スポーツのダイナミックさを表現したものでもあります。単純な屋根形状とすることは結果として寒冷地での耐雪や、防水などに効果をもたらします。さらに施設正面には小さなフレーム(トレーニング室)と屋外階段、キャノピーを配置し、大屋根が単調なものにならない様に、大きさのバランスを調整しています。

 内部構成は分かり易くシンプルなものを目指し、エントランスホールとアリーナを中心として、その両翼に更衣室、機械室や器具庫を、また2階には観客席とトレーニング室を配置しています。また2階は回遊性を確保しており、ジョギングコースとして周囲の自然を感じながら、汗を流すことが可能となっています。

 仕上材は、スポーツという人間の根元的な活動を表現するために、コンクリート打放しを基調とした、素材感のあるもので統一しています。エントランスホールには彫刻、絵画、写真等が飾られ、迫力ある中にも落ち着いた施設の、イメージアップに一役買っています。

施設概要

場所
岩手県一関市(旧東山町)
用途
体育館
竣工年月
1997年1月
延べ面積
4,415.65㎡
構造
SRC構造  一部S造
階数
地上2階

受賞歴