特別養護老人ホーム「ふたばの杜」
周辺住宅に馴染むヒューマンスケールの福祉施設
敷地は仙台市北東部、青葉区と泉区の境界に位置する1970年代に造成された団地内にあります。
周辺は木造2階建ての住宅が立ち並び、南側道路は敷地入り口から西側に向かって徐々に高くなり、西側隣地は敷地より約6m高くなっています。また、東側は検地ブロックの擁壁上で敷地が約15m高く、見晴らしがよく、敷地北側は北下がりの斜面の雑木林となっています。
このような立地条件のなかでまわりの住宅と比べ、圧倒的に大きなボリュームをいかに風景に溶け込ませるかをテーマとし設計しました。
具体的には2階床をプレート(人工地盤)とし、1Fを基壇とし、その上に住宅と同じ2階建ての建物が建つように計画し、3階建ての高さを2階建ての住宅に近い高さと意識できるようにデザインしました。
また、平面的にも雁行させ、ボリュームごとに外装仕上を変え、分節することで、より住宅のスケールとなるよう強調しています。
内部は中央に縦動線を集約したシンメトリーな構成で、各居室が共同生活室を取り囲むシンプルで明快なプランとしています。コンパクトであるがゆえの閉塞感を廊下突当りの抜けを設けることで解消しています。階高を3.0mに抑え、1種低層住専で絶対高さ10mの規制をクリアすると共に、コスト削減を図っています。仕上はクロス、長尺シートなど汎用品を用いコストに配慮しつつ、腰壁や天井に木や和紙調のクロスを使い、温かみがあり、落ち着いた雰囲気としています。
(岩根敦)
施設概要
- 場所
- 仙台市青葉区
- 用途
- 福祉施設
- 竣工年月
- 2012年3月
- 延べ面積
- 2,457.92㎡
- 構造
- 鉄骨造
- 階数
- 地上3階 地下0階
メディア掲載
- 建築ジャーナル(2014年3月)