大河原町中央公民館
既存公民館のリノベーションによる市街地活性化の試み
通常の改修の範疇を超えた、リノベーションプロジェクトです。
既存の建物は、当時の周囲の環境要因により、外皮をPCで覆い、採光はトップライトから採り、地下もある特徴的な建物でした。その後周囲の環境が変わり、周りが開けたことで、一見して中の様子がうかがえない閉鎖的な印象となってしまっていました。
今回のリノベーションの目的は4つありました。
エレベーターを設置しバリアフリー化を図る。
地下があることや、外壁の位置が各階で異なることから、エレベーターの設置は難題でした。
エントランスロビーとエレベーターシャフトを兼ねた増築部をつくり、各階で既存建物につないでいます。ガラス張りの増築部により、内外がつながる開放的なファサードを新設しました。
建物のプログラムを見直し、地域活性化の拠点をつくる。
建屋内のRCの雑壁を撤去することが構造フレームのバランスを向上させることもわかり、既存と天井や壁は積極的に取り壊し、開放的でフレキシブルなプランとし、町民の方々が自由に利用できる空間づくりを行いました。
内外が大胆につながる折れ戸やイベントに利用できるデッキテラスも追加し、街並みへの賑わいの創出も図っています。
内部空間を明るくし、室内環境を改善する。
トップライトは、夏は暑く、雨漏れが悩みの種となっていました。
PCの外壁に開口部を設け、外断熱を追加し断熱性能を高め、雨漏れの激しかった部分は屋根でふさぎ、光と風が抜ける快適な内部空間を実現しました。
ホールの天井は、落下しても危険性の少ない軽量天井に取り換え、災害時の避難場所としての安全性を高めています。
良いところは積極的に残す。
中央の廊下はコンクリートのはつり仕上げにトップライトの光が落ち、円形の柱が力強く建つ象徴的な空間であったため、極力改修の手を加えずトップライトの漏水対策のみしっかり行い、新旧のデザインの対比と調和を図りました。
杉本 光司 斎藤 絢(元所員)
施設概要
- 場所
- 宮城県大河原町
- 用途
- 公民館
- 竣工年月
- 2018年9月
- 延べ面積
- 2,317㎡
- 構造
- RC造
- 階数
- 地上2階 地下1階