宮城県農業高等学校
低層分棟化による農業高校らしい集落のような風景づくり
震災からの復興
農業高校としては東北有数の規模と国内最古の歴史と伝統のある本校が、東日本大震災の大津波により壊滅的な被害を受け、内陸部に移転再建した災害復旧のプロジェクトです。
集落らしさを生むデザインコード
約33ヘクタールに及ぶ広大な敷地に、校舎棟のほかに各種実習棟、温室、畜舎、寄宿舎、その他付属棟合わせて50を越える施設郡を計画するために、基本となるデザインコードを設定しました。
・建物は2階建てまたは平屋とし田園風景に調和させる。
・軒のあるデザインで半屋外の実習空間を確保する。
・切妻もしくは片流れの屋根を基本とし、勾配や向きを統一する。
・柱スパンを統一したモジュール設計で経済性に配慮する。
・建物間の適切な隣棟間隔を整理する。
・標準断面を検討し、棟毎のデザインのばらつきを抑える。
センタープラザがつくる大らかな学習空間
中枢機能を担う校舎棟は回遊性があり、廊下からの採光と通風が気持ち良い「ロの字型の構成」とし、中心に約50m角の「センタープラザ」をつくり、日常の生徒の交流を兼ねたイベント広場としました。
広大な敷地と地域、歴史をつなぐシンボルロード
広大な敷地に点在する各実習ゾーンつなぐために、メイン動線となる「シンボルロード」を計画し、日常的に地域とつながる場を設けました。
津波で被災しながら奇跡的に生き残った旧校舎の桜の木を、生徒たちが蘇らせて培養した「復興ザクラ」がシンボルロードに植樹され、宮農の新たな歴史をつないでいます。
(杉本光司+宇都宮俊(元スタッフ)+斎藤駿(元スタッフ))
施設概要
- 場所
- 宮城県名取市
- 用途
- 高校
- 竣工年月
- 2018年1月
- 延べ面積
- 校舎+体育館棟11615㎡ 全体面積集計23450㎡
- 構造
- RC造及びS造
- 階数
- 2階及び平屋
メディア掲載
- 建築ジャーナル(2021年1月)
- 近代建築(2018年8月)