プロジェクト

慶長使節船ミュージアム リニューアル

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多くの関係者と伴走し既存建築のコンセプトを活かした改修設計

1996年に開館した慶長使節船ミュージアムの、大規模な展示リニューアルに伴う改修設計です。

背景
本建築は、故石井和紘氏の設計で、リアス式海岸の地形や海岸線と一体化した唯一無二のコンセプトと、それをまとめ上げた大胆かつ繊細なディテールは建築界でも話題となり、江戸時代初期の文献をもとに木造原寸サイズで復元されたサン・ファン・バウティスタ号とともに、支倉常長と慶長遣欧使節の偉業を広く伝えました。
その後、東日本大震災では最大8メートルの大津波が敷地を襲い、特に海側のドック棟は大きく被災し、その後の調査で復元船の老朽度も激しく解体を余儀なくされたことから、今回の大規模リニューアルとなりました。

体制
事業全体の基本計画及び基本設計/土木外構の実施設計はオリエンタルコンサルタンツ、復元船を含む展示設計・施工は乃村工藝社が担い、我々は展示リニューアルに伴う建築に関連する改修設計と、展示を除く施設全体の監理業務を担当しました。我々の担当部分は事業全体の一部ですが、ほぼすべての設計分野と関連があるため、他社/各種関係機関との連絡を密にとりながら業務を実施しました。

特徴
建物は丘と一体化した展望棟、海岸に近いドック棟、両者をつなぐエスカレーター棟の構成です。展望棟は既存建築を改変せず、展示改修に伴う最小限の建築改修とし、経年による大規模な空調・電気設備の改修を行いました。
東日本大震災の大津波で外壁を消失したドック棟は、半分を再び屋内化するために、当初のサッシレスの大判ガラスファサードの意匠へリスペクトを持ちつつ、展示空間として要求される採光/日射熱制御などの機能面への配慮、構造負担が増やさない軽量な外装構成などを多面的に検討し、大判のアルミパネルによるデザインを採用しました。

復元船は今後の維持管理、サステナビリティの観点から1/4サイズと縮小されましたが、細部の精巧な造り込みと解体した原寸復元船のパーツ展示により、今までとは違う魅力を持った展示となっています。

杉本光司+金子寛(展示設計:乃村工藝社)

施設概要

場所
宮城県石巻市
用途
博物館
竣工年月
2024年10月
延べ面積
4,412㎡
構造
RC造一部S造及びW造
階数
地上1階

受賞歴