双葉町仮設庁舎
双葉の未来へつながる、情報・交流の“プラットフォーム”
双葉町は東日本大震災で被災し、町の大半が帰宅困難区域に指定されました。本事業は、今年度の双葉町駅西側居住エリアの開放に向けて、避難していた庁舎を駅東側に整備するものとし、プロポーザル方式で工期・コストの短縮と新たなまちづくりを牽引する存在としての庁舎が求められました。
私たちは、駅西側居住エリア(なりわい集落)が生活、駅東側まちづくり再生エリアが情報、双葉駅周辺が交通として、それぞれの結節点に位置する庁舎を「情報・交流が行き交うプラットフォーム」として位置付けました。
構造は軽量鉄骨造のいわゆるプレハブ工法とし、工期やコストに配慮しつつ、木のルーバーによる内外の木質化や、高効率の設備・太陽光パネルの導入で弊社実績でも初となるNearly ZEBを取得するなど環境にも配慮した建物としました。
外部は鉄骨の柱が1.8mピッチで規則的に並び、表面には温かみのある木ルーバーと大きな木のキャノピーが来庁者を優しく迎えます。
内部は共用部はコンクリート床に木毛セメント板の天井、手摺には木格子と雰囲気のある空間としつつ、連窓サッシで内外を連続的につなぎ庁舎内の活動が外部に開かれる計画としました。内部色には白、グレーを基調に、さくら、青、黄、緑など双葉町の要素を抽象化した色を採用しています。
また、本庁舎の在り方として多世代にわたり多様なニーズに応える建物であり続けるために、更新性にも配慮しています。
今回の事業を含め町の約1割がようやく帰宅困難区域解除となり、双葉町は復興の第一歩を踏み出したに過ぎません。この庁舎が今後の復興の発展、そして多くの開拓者の方々や町を訪れる人々に愛される建物であり続けることを心から願っています。
江田紳輔+本間亜門
施設概要
- 場所
- 福島県双葉郡双葉町大字長塚字町西73番地4
- 用途
- 自治体庁舎
- 竣工年月
- 2022年6月
- 延べ面積
- 3,145.97㎡
- 構造
- S造
- 階数
- 地上2階
受賞歴
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