3月に軽井沢に行ってきました。
その中で特に印象に残った3つの場所を紹介します。
軽井沢タリアセンという場所の湖畔に、アントニン・レーモンドの夏の家が移築され、ペイネ美術館として一般開放されています。
軽井沢は別荘建築として数々の名作が残り、レーモンドの夏の家は日本の別荘建築文化の出発地点といえるような存在です。
美術館として使用しているため、内部の写真は撮れませんでしたが、丸太のラフな組み方の中に、スロープなどの近代建築の要素が挿入され、当時の最先端の西洋建築と田舎風の和風建築が融合し、その後の日本の住宅建築に大きく影響を与えたことがうかがい知れます。
大胆に大きく切り取った窓も印象的です。
2つ目は千住博美術館です。
こちらも撮影可能だった外観のみ紹介します。
林の中にたたずんでいるため、外観から全体像を見渡すことはできません。
外観がある意味「無い」ことでより空間そのものが際立ってくる印象がありました。
唯一無二の独創的な形や空間をもつ建物でありながら、あくまでも自然に見えてしまう。ものすごく考え抜いて、恣意的な形態操作をしていながら、形自体の印象は消え去り、環境そのものになっているような印象を受けました。
バックヤードに回り込んでみて初めて、屋根やガラス面の美しいカーブを感じることができました。
最後に紹介するのは、武井誠+鍋島千恵/TNAの「廊の家」です。
昨年12月から宿泊可能になり、ここに泊まることが今回の研修の一番の目的でもありました。
斜面に立つこの住宅は、1/3が土の中にあります。
空中に飛び出した部分は、柱もなくキャンティレバーで成立しています。
屋根も土の中に貫入していて、住居部分の平面はドーナツ型をしています。
階段状のエントランスを登ったところです。
窓で水平に切り取られ、森の中に投げ出されるような感覚があります。
ぐるっと一周しながらリビング・ダイニング・バストイレ・寝室がつながります。
時間とともに変化する軽井沢の森を感じながら、廊の家での1日を堪能しました。