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SOP研修【小野寺】小田原

  • 研修関連
  • 2023.03.01|小野寺謙

SOP研修とは

2022年11月24~27日の期間に、小田原~神奈川付近で研修に行ってまいりました。

実施設計~監理業務の経験を経て、建物の「全体」と、「細部」の納まりにあらためて興味が湧いてきました。これらを中心に、設計の視野を広げる研修として企画したものです。

訪問した場所・建築について、抜粋してご紹介いたします。

■KMEW DESIGN AWARD 2022表彰式

場所はヒルトン小田原にて、KMEW DESIGN AWARD2022の授賞式に参加してまいりました。弊社が設計監理を担当しました「野蒜海岸津波避難施設」はArchi-spec TOI/KAKU賞を受賞しております。(→KMEW DESIGN AWARD2022

会場では各受賞作品のパネル展示や、審査委員長である竹原義二氏による、作品を交えての議論などが行われました。

作品紹介はこちら
野蒜海岸津波避難施設 | 関・空間設計

 

■江之浦測候所(神奈川県小田原市)

相模湾を望む崖の上に建つ、美術品の鑑賞を主目的としたギャラリー、舞台や茶室などで構成された建築物群です。石材を中心とした自然素材と、ガラスや鉄などの人工素材の組み合わせが美しい空間でした。同種の素材でも色味や形状を変えた複雑な使い分けや納まりは見ていて勉強になりました。

 

■KAIT広場(神奈川県厚木市)

神奈川工科大学の敷地内に建つ、屋根付きの長方形の広場です。床と屋根は懸垂曲線に沿ってゆるく中央に凹み、場所ごとに勾配が異なることで内部の利用者の居方を様々に変える働きを持ちます。屋根に無数に開けられた長方形の開口は天候によって印象を変え、日光や雨が柔らかく透水アスファルト舗装の床へしみ込んでいきます。屋内への自然の取り込みを一定のルールのもとデザインした、実験空間のようで、とても新鮮に感じました。

 

■神奈川県立音楽堂(神奈川県横浜市)

前川國男により設計された、1954年竣工の音楽ホールです。水平な庇によって上下に分割されたボリュームが、ホールの巨大なスケール感をやわらげています。ボリュームの上部は開口と壁面でメリハリがついた量塊、下部はコンクリートの柱・梁と、構造だけが細く立って見えるよう存在を消した黒色のサッシで、利用者を受け入れる開放感のある空間を演出しているように感じました。内部の色使いや仕上げのポップさは、権威的ではない「市民のための音楽堂」といった印象を与えています。

 

■新豊洲Brilliaランニングスタジアム(東京都江東区豊洲)

障害の有無や性別、年齢に関係なくすべての人がスポーツを楽しむことを運営コンセプトとして設計された半屋外の運動場です。会場には主に競技用義足の設計開発を手掛ける会社「Xiborg」のラボが併設され、義肢の微調整等をその場で行える建物となっています。建物はまさに義足のカーボンブレードを思わせるような、木の集成材を湾曲させ鉄骨と組み合わせた空間が印象的でした。

2019年に入社してから建物を設計するにあたり、普段何気なく目にする・使用するもののほとんどに設計者・製作者の検討・判断が宿っているということに気づき、最近は建築のみならず、様々なもののデザインに興味が湧いています。建築は内外部で誰彼問わず人間が行う物事のすべてに気を配る必要がある以上、その引き出しを増やすということが、施主あるいは社会への貢献につながるものだ、と感じた研修でした。