【研修期間】
2022年9月16~19日
【研修先】
神戸―淡路島―徳島
今回のメインの目的は大学の研究室創立30周年記念で、各地方で活躍するOB・OGを訪問するツアーに参加することでしたが、台風が直撃し組まれていた日程はほとんど中止となりました。。。。
それでもツアー前にいくつかの建築を回ることができました。
【阪急神戸三宮駅前広場/神戸市】
三宮駅周辺の再整備が進む中で、その第一アンカーとなる小さなプロジェクトです。円盤状のオブジェクトが持たれ合いながら置かれており、そこに人が寝たり寄りかかったりと、自由な態勢で思い思いの場所を見つけていました。若者たちが多く集まっていて魅力的に思えた一方で、タクティカルアーバニズム的な空間を日本のおじさんおばさんたちにも開いていくにはどうすればいいのか考えさせられました。
【淡路夢舞台/淡路島】
関西国際空港建設のための土を採掘した跡地に建てられたもので、20年以上たちようやく土地の一部になっています。人に使われること、機能性、維持管理、そのような人間に寄り添ったかたちの建築のスケールをはるかに超えています。このまま放っておいて朽ちていけばいいと思いますし、人間の生活世界とは別に存在し続ければいいと思える建築(?)です。このような空間が日本各地に点在しており、人は時に訪れまた元の生活世界に再帰する、我々にとってそのサイクルが重要だと思います。
【禅坊靖寧/淡路島】
森の中に浮いたデッキの上で禅を行う空間です。淡路夢舞台の話にも共通しますが、日常的に社会に生きる人間が、どれだけ空間的に自然世界に入ろうとも、深層にある美的な経験をすることはとても苦手です。この場所は見方によれば過剰なまでに演出された空間とプログラムによって、半強制的に美的な経験が促されます。これを高いお金を払ってまですることをどう思うか、人それぞれだと思いますが、個人的にはとても良い経験でした。あまり経験ありませんが、地上にいる時間感覚を失うダイビングの経験に近しいと思いました。
【研究室ツアー/徳島市・佐那河内村】
ほとんど台風で中止となりましたが、古民家をリノベした自邸を見せていただいたり、地方のあり方について議論したりと、楽しい時間を過ごすことができました。
今回の研修は、研究室の同期とめぐり、建築の技術的側面というより「空間の経験」について議論しました。日々の業務の中では忘れがちな視点を再認識させられた機会でした。