仙台市内で工事中の某物件の外壁、床に使う石の検査のために
中国の福建省、廈門(アモイ)に石の検査に行ってまいりました
製品検査で海外渡航、昔はそんなこともあったと聞きますが、自分が行くことになるとは思わず、貴重な機会になりました
アモイへは成田空港から飛行機で4時間、直行便で行きます
台湾の対岸に位置し温暖な気候で中国でのリゾート地として国内から観光客が訪れる都市です
昔から石の産業が盛んで、世界中から石がコンテナ船で運ばれてきます
今回は、建築の材料としての石がどのようにして採掘され加工され仕上げられるのか、一連の流れを見学することができました
進行中のプロジェクトに関わるものであったり工場内部の技術的なものであったりするので、写真はお見せできませんが文章で報告したいと思います
【1日目】
最初に、「丁場」と呼ばれる石を採掘する山を見に行きました
実際に使う予定の石の丁場は遠くて行けない場所だったので、代わりにサビ石の丁場を見てきました
削られた岩肌があらわになっていて、山全体がサビ石の巨大な塊であることを実感できました
一方で、そこから削り取られたものが建築の壁や床に使われるということにまだ違和感というか信じられないような不思議な感覚になりました
次に、丁場から採掘された「原石」と呼ばれる2~3m四方、高さ1.5mほどの石の塊が運ばれてくる「石の市場」を見に行きました
軽自動車1台分ぐらいある大きな原石が3、4段詰まれた状態で、ずっと向こうまで並んでいて、それが何列もありました
歩いて見るのも大変なぐらい無数の原石があり、世界中の石がここに集まっている、中国の財力を象徴するような壮観な風景に圧倒されました
周囲にもいくつかの原石や、原石を板状にスライスしたスラブ石のマーケットがあり、周辺一体全てが石の町でした
【2日目】
2日目は最初に、原石を加工する工場を見学しました
長い鋸の刃が数十列もズラッと並んだものを、前後に反復運動させて少しずつ原石を切っていく「ガングソー」という機械がありました
てっきり1枚ずつスライスしていくものだと思っていたので、原石を一気に何十枚もの「スラブ」にすることができる機械を見れて関心しました
一気に切る分時間はかかるそうで、花崗岩だと原石1つ切るのに3日はかかるとのこと
次に石のショールームに行きました
世界中から集まった石のスラブ材展示は圧巻で、かなりの感動がありました
おそらく何千種類、という数の石が置いてあり
どれも色も模様も違っていて表情豊かで、まるで絵画のようなものもあったり、自然にできたものの神秘性を感じました
私自身は建築設計をしていても石という材料を使う機会は非常に少なく知識もなかったのですが、ここでいろんな表情をもつ石の魅力にとても惹かれるものがありました
最後に、検査を行った工場では、スラブ材からカットして仕上げる工程までを見せていただきました
こうやって建築の仕上げとしての石ができていくところを見ると、そこにかかる手間と設備とがあって材料としての価値を実感することができました
検査では実際に使うものを確認しましたが、そこでも自然のものであるがゆえの色味や模様があり、それを個性と捉えるか欠陥と捉えるかはあるのですが、そういうことも含め一連のことがすごく人間味があるというか、人の手と気持ちが入った材料なのだと思い、石に対する見方が変わりました