日程:2019年9月26日~9月30日
3日間という限られた時間でも有意義な体験をすることを意識しながら、オランダで名建築から近年の話題作まで様々な時代の建築と街並みを見てまわってきました。
公共交通機関は快適でしたので、目的の建築だけでなくそこまでの道のりを楽しめました。
現地に足を運ぶまでは、オランダ建築の特徴的なデザインはメディアで掲載されるごく一部でみられるものだと思っていましたが、街中のごく一般的な都市景観からも随所にオランダらしさを感じられたことに驚きました。
思いのほか多くの建築をみることができましたが、特に印象に残った作品は以下の4つです。
・MVRDV設計のマーケットホール
社内での報告会でも話題になりましたが、確かに大高正人さんや大谷幸夫さんの高層アパートを思い出させてくれます。
こちらの方が造形にユーモアを感じる分、純粋に観光名所として楽しめました。
・Civic Architects、メカノー他設計、LocHalティルバルフ図書館
個人的にインダストリアルや再生といった分野に関心があったので、鉄道車両の整備工場を再生したこの図書館をピックアップします。
造形的には控えめでありながらもカーテンや家具、植栽まで含めた繊細な色彩計画に現代感を感じました。
近代の名作で好みだったのは、
・リートフェルト設計のソンスベーク彫刻パヴィリオン
・デュドック設計のヒルヴェルスム市庁舎
リートフェルトのパヴィリオンは部分は単純でありながら全体としては複雑、という豊かな体験のできる空間でした。
時間があるときに図面をじっくり分析する予定です。
ヒルヴェルスム市庁舎は左右対称を崩したデザインの反復が心地よい作品です。
総じて言えるのは「歩いていて楽しかった」ということ。
オランダでは都市計画やマスタープランの作成にも建築設計事務所が関与するそうですが(★)、その結果が特定のスポットが突出して魅力的というよりも、総合的に居心地のよいエリアが点在しているという印象につながってくるのかなと思いました。
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★『海外で建築を仕事にする2 都市・ランドスケープ編』学芸出版社、2015年収録、小笠原伸樹「都市計画に踏み込む建築─ダッチ・アーバニズムの先」