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SOP研修【富樫】ローマ・バルセロナ・南仏

  • 研修関連
  • 2024.11.20|富樫遼太

研修期間:2024年9月11日~22日
行先:地中海沿岸(ローマ・バルセロナ・南仏)

昨年の研修では、ドイツ・ルール地方のIBAエムシャーパークを自転車で巡り、各自治体の境界を越えた連続的な整備やその手法について学んできました。普段私たちは「東北」に根差した事務所として、公共建築の仕事をしています。ただ実際は自治体ごとの仕事を個別にしているという感覚で、行政区を超えた繋がり、もしくは「東北」という意識は希薄なように思ってきました。今回の研修では、そんな日常の疑念と前回の研修に接続する【地中海のテリトーリオとテロワール】をテーマに旅をしてきました。

【テリトーリオ/Territorio(伊)】とは、行政区を超えた地域のまとまりを表すイタリアの考え方です。東大の陣内秀則さんは「都市と周辺の田園や農村と密接につながり、支え合って共通の経済・文化のアイデンティティを持ち、個性を発揮してきたそのまとまり」と定義しています。フランスにも似たような言葉で【テロワール/Terroir(仏)】という気候・土壌・地形など地域の自然的環境を示す概念があります。主にワインの味や性質を左右するブドウ畑や職人の技術など、とりまく環境を表す言葉として使われています。

今回の研修では、都市の起源ともいえるローマに始まり、カタルーニャ・バルセロナから南仏・ニースまで地中海沿いに巡ってきました。これらの地域は、世界的な観光地・リゾート地・避暑地という外向きな側面を持つ一方で、伝統的な農漁村の生活、スローフード運動、国内外からの移住、近年のミュニシパリズムなど内発的な動きが持続してきた場所です。

正直まだ何がテリトーリオといえるのかよくわかりませんが、出身の違いや経済格差がありつつも誰もが地中海を舞台に同じ世界を生きている感覚がありました。加えて、その世界に身体を置きながらも、別の時間や空間へと意識を移動させるあらゆる要素があったように思います。例えば過去と未来を繋ぐ古代ローマの遺跡、都市と農村と海を繋ぐマルシェ、内外の人が一緒に感動する建築、大地を想像させる小さな建築の連なりなど、町に点在するあらゆる要素が時空間を越境する助けなるのではないかと思います。もしかするとテリトーリオの体現は、政策としての一体的な整備や協議に頼らずとも、人間の想像力と小さな町の要素によってあらゆる時空間と関係を取り結ぶことができるのかもしれません。

私の中で【地中海のテリトーリオとテロワール】というテーマはまだ続く予定です。テリトーリオの発祥・イタリアを巡る必要があります。今回の経験を通じて得たまなざしを大切に生きていきたいと思います。

▽Roma

▽Barcelona

▽Sitges

▽Carcassonne

▽Avignon, Orange

▽Marseille

▽Cannes, Antibes

▽Cagnes-sur-Mer

▽Nice